不眠大国日本。睡眠関連市場はここ数年盛り上がっております。しかし、睡眠計測機器や睡眠をサポートするサプリメントやグッズといった、睡眠をサポートする商品の販売にとどまっていたりと個人の根本的な睡眠課題を解決できるソリューションが足りていないという課題があります。
そんな中、現在当社SleepLIVE株式会社では、独自開発した睡眠改善プログラムを元に、睡眠やメンタルにお悩みの方の行動や思考を分析して、その方自身が考えて自ら行動に移し、改善していくためのサポートをさせて頂いております。睡眠課題は千差万別。それぞれに必要で、それぞれに合った最適なサポートを行うことができるようになったその背景には、開発者であり、当社代表の小林麻利子が経験した挫折や失敗、隠したくなるような過去がありました。
Profile 小林麻利子(SleepLIVE株式会社代表取締役社長) 公認心理師、メディアでは「眠りとお風呂の専門家として活動」。科学的根拠のある最新データや研究を基に睡眠や入浴を中心とした生活に合った無理のない実践的な指導が人気を呼び、約4000人の悩みを解決。睡眠指導者の育成にも力を入れる。睡眠に関する書籍多数。テレビやラジオ、雑誌監修などメディアでも活動。 |
日本人特有の「我慢するべし」「残業は素晴らしい」環境
今から15年以上前の話。前職は、メーカー勤務の総合職・営業として配属された小林。周りは男性ばかりで、朝早くから出勤して、遅くまで残業する先輩社員が多かったようだ。
飲み会の席では、新人だからと気を遣って最後まで残って盛り上げる日々。先輩や同期との会話は、「昨日深夜まで仕事をしていた」「俺が若いときは睡眠時間4時間だった」「もっと頑張れ!」残業しているときも、(あの先輩がまだ残っているから、先に帰れない・・・)と、若手が早く帰ることができないような職場であったという。
「先輩上司は、本当に優しく頼りがいのある方ばかりでした。でも、自分の身を削ってでも頑張り続けなければならない、それが自分の成長に繋がる、と信じてとにかく毎日歯を食いしばって生活していました」
───自分の生活習慣をコントロールする術も知識もなかった
忙しい中でも、何か生活習慣の工夫はしていたのだろうか。
「営業先は遠かったので、早朝に出発し、営業先からオフィスに戻り、事務作業をしてから自宅に帰るのは22時頃でした。お昼ご飯は立ったまま食べることもあり、夕飯は料理を作る気力もなく、割引シールが貼ってあるお惣菜を購入して、遅い時刻に食べてました。自分の時間が全然なかったので、自分の時間をとにかく謳歌しなければと、遅い時刻までテレビを見たりネットサーフィンをして、いつの間にか寝落ちをする日々でした」
就寝時刻はバラバラで食事時刻は不規則。土日は死んだようにお昼頃まで寝て、残った仕事や勉強をしていたという。
「今では本当に考えられませんが、時間がないことを理由にお風呂に浸かることは全くなく、毎日シャワーのみでした。リラックスですか?リラックスが必要なことすら、私は知りませんでした。自分のためにケアをすることすら考えられないほど、毎日のタスクに追われていました」
───結果、自律神経失調症になる
予想もしていなかったという。電車に乗る度にお腹が痛くなったり、過呼吸となってホームのベンチから立ち上がれなくなることも。鏡をみると、肌や髪がボロボロ。まだ20代前半だったのに、鏡に映る自分の顔がおばあさんのように見えたという。円形脱毛症になったときは、このままではだめだと感じたようだ。
「見つけてくれたのは、美容師さんです。髪の毛をカットしてくれているときに、そっと耳元で教えてくれました。そのときは、笑って『知ってます』と答えましたが、もちろん、知らない。なんで?どうしてこうなったの?帰宅後、こぎれいにしてもらった頭を掻きむしりながら、大泣きしました」
月経が遅れていたことも分かっていた。仕事に集中できなくなっていたことも、朝起きられなくなっていたこともわかっていた。でも、自分のことなのに、他人事のように放置した結果、体も心も壊してしまったという。
「翌日上司に相談しました。上司も先輩も本当に優しくてありがたかったです。すぐに、心療内科に連れていってもらいました。医師からは自律神経失調症だろう、と言われました。上司からは今日から休んでいいよ、と。元気になったら戻ってきたらいい。何日でも何か月でも休んでいい。それが小林さんの権利だから、と言われました。もう少し早くSOSを出した方が良かったし、なぜ自分の体のことなのに、自分がちゃんとケアをしてあげなかったんだろう、と本当に悔やみました。」
───素人ながらに、自律神経のケアを行ってみた
その当時は、自律神経という言葉はあまり聞かない時代。小林自身もよくわからなかったが、帰宅した小林は、なんとなくリラックスをしたらいいのだろうと、ちょうど、先日友人にもらった、アロマがあったため、嗅いでみたという。
「とってもいい香りで、自然に呼吸が深くなるのを感じました。」
夕飯は既にすましていたため、いつもの小林なら、そのままテレビを見て過ごすところ、アロマを嗅いで、いつもよりも落ち着いた小林は、湯船にお湯を入れてお風呂に浸かってみたという。
「いつもなら、シャワーをしながら、あとであれの仕事をして、そのあとこれをして・・・と考えながら過ごしていたのですが、その日は、実家でお風呂に浸かったとき以来の数か月ぶりのお風呂でした。上司が仕事を全て預かってくれ、考えなければならないことがなかったので、目を閉じて、ゆっくりとアロマを嗅いだときのような深い呼吸を繰り返しながら浸かってみました」
お風呂あがりは、いつも家事をしたり、部屋の片づけをするという。しかし、お風呂でリラックスできた小林は、気持ちの良い眠気が訪れ、その眠気と共に、すっと眠りについたという。
翌朝。毎朝、いつもアラーム時計の音で目が覚める小林だったが、今日は時間に縛られない平日の朝。いつもよりも寝起きはよい。遠くで鳥の鳴き声や雲の流れる様子をベッドから観察しながら、なんだか寝起きがよかったからか、散歩にいこうと思い立ったという。
「日焼け止めだけ塗り、険しい顔をしながら駅に向かうサラリーマン達の歩行を逆らうように、公園の方へ歩いていき、太陽の光を浴びました」
仕事をしない日を過ごした小林は、昨日の湯舟の気持ちよさを思い出し、同じように湯舟に浸かり、同じように眠気を感じて早めに就寝。翌朝もいつもよりも気持ちよく起きられ、その日も活動的に行動。そして同じように夜を過ごして、翌朝。
世界が違って見えたという。
───3日後、世界が違ってみえた
「4日目の朝、大げさではなく、本当に、世界が違ってみえました。2日目の朝も3日目の朝も、寝起きはよくなっていたのですが、4日目の朝は本当に気持ちいいほど最高の目覚めでした。鏡を見ると、クレーターのようにボロボロだった肌の炎症が治まっていました。喉元にいつも誰かに首を絞められたいたような閉塞感がなく、耳鳴りもなく、体自体が軽くなったような。ふわふわと飛んでいる感じ、といっていいでしょうか。心も体にも変化があり、私は、15年経った今でも、その感動を忘れられません。」
自然に行っていた、眠りの質を高める方法。今考えれば、改善するポイントも多く、もっとこうしたらさらによかったのでは、と思うこともあるとのこと。でも、素人ながら行ったことで、自分の体と心に変化があり、よくわからないながらも、自律神経を整えることはすごいことだ、と感じたという。
忙しくても自分の行動を制御する
上司には、小林さんが楽になるまでお休みしていいと言われたようだが、小林は、すぐに職場復帰をしても大丈夫だと感じたという。
「私の原因は、心因性よりも、自分の行動を自分で制御できなかったことにあるとわかったんです。もちろん、今まで通り、早朝出勤、深夜帰宅を続ければ、自分の行動はコントロールできないので、そこはお願いし、定時で帰れるように交渉しました。その上で、あの感動を毎朝得たいという思いで、食事時刻や、寝る前の過ごし方など、自分で計画をして、過ごすようになりました」
職場復帰後は、業務内容なども負荷の低いものを中心に取り組めるように配慮してもらったようだが、直に、営業企画として、お客様企業で講演会を行ったり、ビッグサイトでの展示物の企画を任されたり、はがきの広告制作や業界雑誌へ記事執筆を行ったりと、どんどんと仕事を任されるようになったという。
「どんどん仕事が忙しくなりました。でも、素人ながらにも、自分の生活は自分で制御する、をモットーに、どんなに忙しくて帰宅が遅くなっても、朝早い日があっても、自分で工夫できるようになっていました。自分でも驚きです」
───見渡せば、悩んでいる人が多かった
自分が持っている鞄と同じ鞄を持っている人はすぐに目に付いたり、自分の車と同じ色の車種が通ればすぐに気づいたりするように、自分が経験したことで、友人との会話で、その友人の悩みに気づけるようになったという。
「見渡せば、私と同じように悩んでいる人が多かったんです。やらなければならないことに追われていると、つい、自分の生活は疎かになってしまいます。そんな状態では、この健康法がいいよ、あの健康法がいいよ、などテレビや雑誌でよく見聞きするようなことを一時だけ取り入れることはあっても、それはただの自分の生活の中でのたった1つのエッセンス。結局、忙しい生活の中で、どんな価値観があってどんな生活があって、どんな環境の中で過ごしているか、によっても選択方法は変わってきます。根本的に生活習慣を改善するための伴走者がいてもいいんじゃないかと思ったんです」
───円満退社後、目標のために突き進む
両親には反対されたという。退職して、自分の経験をもとに、さらに勉強をして、悩んでいる人の力になれるようになりたいと、いくら説得しても、もう、京都に帰ってきなさい、というばかり。でも、使命に駆られた小林は、一世一代、退社を決意し、アロマやヨガなどの学校に通い、勉強を重ねたという。
「正直に申し上げると、はじめは、自分が変わったその理由は、アロマなのかもしれない、いや呼吸を促すヨガなのかもしれない、と、睡眠改善にいきつくまで少し時間がかかりました。でも勉強を重ねているときに、自律神経を第一線で研究されている関西の大学の名誉教授に、ある講演会で出会いました。すぐに、名刺を渡して、教授の研究室を訪れ、マンツーマンで勉強させていただきました」
「小林さん、こんなこともわからへんのか」と言われたこともあったという。元々負けず嫌いの小林は、教授から渡されたいくつもの論文を端から端まで読み込み、一語一句わからない言葉は図書館にこもって調べ勉強を重ねた。論文を検索すれば、新しい研究報告もわかるし、日本だけでなく、世界の研究もわかるんだ、と、文系出身の小林は驚き、何かあれば論文を読み、わからない単語は調べたり、直接教授に教えてもらったり、日本にはまだない参考書を取り寄せて勉強を重ねたという。
そこで分かったことは、自律神経を整えるためには睡眠が重要であるということ。アロマやヨガや呼吸法も食事も大事。でもそれらは睡眠をより良いものにするためのツールと考え、1つ1つ丁寧に整えていくことで、自律神経を整え、それによって睡眠が整い、それによってさらに自律神経も整っていく、ということがわかったという。自律神経が整えば、内分泌や免疫のバランスも整い、健康や美容にとって優位に働くこともわかったという。
───生活習慣改善サロンFluraを開業
2012年、Fluraを開業。教授との出会いは正確にいうと、開業後だったという。既に生徒さんを抱えて、運動、食事、休養の3本柱のパーソナルトレーニングを行っていた小林。
「勉強を重ねていくと同時に、実際の生徒さんに直接指導していました。はじめは睡眠メインよりも、運動や食事やメンタルケアなども含めて、1人1人の課題に合わせてバランスよく見ていましたが、あるとき気づいたんです。ダイエット目的の方も、夫婦間のトラブルのある方も、睡眠の質が悪かったんです」
ダイエットというと、すぐに運動や食事管理をサポートしたくなるところだが、睡眠の質に着目して、何よりも先に、睡眠改善のサポートを行ってみたという。すると、過度な運動をしなくても、するするとスタイルアップしていったという。
「ダイエットの前に、睡眠改善を行っていったとき、ある時生徒さんに言われたんです。「麻利子先生、私3か月前よりも、5キロほど痩せて、適正体重になりました!」「夫にきれいになったね、と言われました!」と。ちょうどその頃に、自律神経や睡眠の勉強と、私の指導内容も合わせて考えたとき、これだ!と思いました。」
───お願いしても人はやらないし動かない
小林の指導スタイルは既に今の指導方法と同じで、60~90分ほどの授業を2、3か月、週1回通っていただく方法をとっていた。また、ホワイトボードを使って、理論を解説し、生徒さんは、ノート片手にそれを書き込み、宿題をもらって、自宅で行う、塾のような指導方法をとっていたが、小林から、これをやって、あれをやってと、言った場合では、翌週生徒さんが来たときに、やれませんでした、という結果が続いたという。
「親にも親友にも言えないような心の内を全て吐き出してもらって、一緒になって考え、解決に導くスタイルをとっていたので、信頼関係は築けていたと思います。でも、正論を伝えて、宿題を与えても、人は動かないということに気づいたのです」
───自分で考えさせるスタイルをとると、自分で動く
その時ふと、思い出したという。小林自身が身体を壊した日のことを。実家に帰省した際に、疲れた様子の小林を見た両親から、休んだ方がいい、と言われたが、「大丈夫、全く問題ない」と答え、実際に行動に移さなかったという。
「人は、自分で考えて自分が自覚しないと、行動に移さないんです。答えは自分が持っていました。」
それからというもの、小林の指導スタイルは、生徒さんに「考えさせること」。理論理屈から指導し、宿題を与えて自宅で行ってもらうスタイルは継続しつつ、いかに、クライエントが、自分で考えるか、というところに重点を置き、指導しているという。
───各家庭の持つ紐の絡まりをほどくこと
「睡眠学というのは、学問の上に成り立つ理論なので、ゆるぎない指導内容の構造は確かにあります。しかし、ただ、寝付きが悪いといっても、その背景にあるのは、もしかしたらお姑さんとの関係がよくなくて、心をつらくしているのかもしれないし、夫婦間の問題があって、気持ちよく寝付けないかもしれません。職場環境であれば、周りの目が気になって行動に移せていないのかもしれない。生活習慣の改善だけでなく、心のケアというのが大変重要であると感じています」
SleepLIVE(株)は、科学的根拠のある心理学を基にした理論を元に展開している。これは、小林のこうした思いがあるからであろう。
「頑張らなければならない、自分が我慢したらいい。といったように、自分ひとりで抱えてなやんでいる方は大変多いです。だからこそ、睡眠改善と一言でくくるのではなくて、ご自身が楽になるような思考の方法から、お手伝いができたらと考えています。」
───熟睡感≠深い睡眠
日本では、ある研究によると9割以上の方が睡眠に悩んでいると思う。ただ、自己流で睡眠改善に取り組んでいる方も少なくない。
「当社では、被験者を集めて終夜睡眠研究も行っています。その際にわかったことは、客観評価は主観評価とイコールではない、ということです。つまり、自分はよく眠れたと思っていたとしても、脳波上は良質な睡眠でないこともある、ということです。犬でも猫でも誰でも寝ようと思えば眠れます。でも、私達人間は、こうした動物ではなく、賢く考えられる脳があります。
ただ、眠るのではなく『賢く眠る』。私達には、皆さんのお悩みを解決できるだけのノウハウを持っています。どうか1人で悩まないでください。一緒に伴走し、皆さんのよりよい人生を築くお手伝いができればと考えております」
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