Emma Sleep Japan合同会社(本社:東京都港区、代表:マヌエル・ミュラー)は、オンライン記者発表会『Emma Sleep 日本上陸記者発表会』を3月16日(火)に開催し、Emma Sleep Japan カントリーマネージャーの小原拓郎による会社概要・商品説明と同社が調査を行った「コロナ禍における日本人の睡眠に関する意識調査」を発表。
調査の結果、コロナ前後での変化が見られ、「普段から健康に気をつけていることはありますか」という質問に対してコロナ流行前では睡眠時間の確保、食事の栄養バランス、適度な運動が上位だったのに対し、コロナ流行後ではストレスをためない、生活リズムを気にしている方が増えていることがわかりました。
また、睡眠時間にも同様に変化が見られました。起床時間はコロナ後の方が全体的に遅くなり、就寝時間はコロナ後の方が全体的に少しだけ早くなっていることがわかりました。
「今のマットレスに満足しているか」という質問に対してとても満足と回答した人はわずか14.6%と自分に合うマットレスを見つけられている人は少ない結果となりました。また、「コロナ流行後、寝具用品の買い替え意向はあるか」という質問に対しては、72%が買い替えを検討していないことがわかりました。
「マットレスの使用年数」については、10年未満が77.6%、10年以上が22.4%という結果になりました。マットレスの耐用年数は製品によって異なるので、マットレスの耐用年数に合わせて買い換えることが大切です。また、寝具を購入する際に重要視するポイントとして「価格」「品質」と回答した人は7割以上となり、次いで「洗濯」「デザイン」という結果になりました。
■福田教授によるゲスト講演
「日本人の睡眠の特徴と新型コロナウイルス感染症 いい睡眠を取るためのヒント」
江戸川大学睡眠研究所 福田一彦教授
他国と比べて日本人の睡眠の特徴は「世界一夜ふかしで、睡眠時間が短い」ということです。他の国と比較すると、約1時間〜1時間半ほど短いと言われています。そして、日本人は睡眠時間を確保しようと「週末の寝だめ」「昼寝」をする人が多いですが、それは間違っている行為であり、まず始めるべきことは夜の眠りを増やすことです。「週末の寝だめ」により生活のリズムは崩れ、毎週末インド旅行に行っているような状態、時差ボケになります。週の半ばくらいまで時差ボケは続き、やっと週末戻ったかと思うと「週末の寝だめ」でまた時差ボケが起こってしまいます。
また、新型コロナウイルス感染症自体の睡眠への特異的な影響はありませんが、感染対策としての在宅勤務や在宅学習により起床時間が遅くなり、就寝時間も遅くなることにより生活リズムの変化が起きています。ただ一方で睡眠時間は伸びているので、日本のような睡眠時間が短い国にとってはプラスな面もあると言えます。
では、どうやったらいい睡眠を取れるのかというと、キーワードは「光と体温」です。1つ目の「光」。日本の住宅照明は昼間のように白くて明るいのが特徴です。白い光にはブルーライトが多く含まれており、ブルーライトは体内時計に大きく影響します。このことから、寝る前に過ごす部屋(リビングなど)の照明はなるべく暗く、なおかつオレンジ色の照明が望ましいです。欧米の住宅照明は非常に暗く、オレンジ色の照明が使われています。
2つ目は「体温」のコントロールが重要となります。睡眠は体温が低下しないと生じない現象なので、入浴は眠る予定の時刻よりも少なくとも1時間以上前で、湯船の温度は40度を超えない設定にするのが理想です。
■トークセッション「睡眠についての正しい知識を身につけて心身を健康に」
(小原)同調査で、「寝付けないと感じることがありますか」と聞いたところ、ストレスや寝る直前のスマホ、デジタル機器操作など6割以上が何らかの理由で寝付けないと回答していることがわかりました。また別の調査で、日本人の約5割が仕事やお金という不安なことを考えながら寝ているというデータがあるように、日本人はストレスなどで寝付けていないことが予想されます。
(福田教授)睡眠を気にする方は不安の高い方が多いので、このような調査結果になっていると思われます。寝る直前のスマホ、デジタル機器操作などが寝付けない原因として上位にあがっていますが、スマホのブルーライトは睡眠にそれほど影響はなく、むしろ住宅照明の方がたくさんのブルーライトが出ています。スマホ・デジタル機器を寝る前に使用することにより覚醒レベルが上がるので、それが一番の問題だと思います。
(小原)寝る直前のスマホ、デジタル機器操作などが寝付けない原因だと感じている人が多い一方で、「起床方法を教えてください」という質問に対しては59.9%が「スマホのアラーム」と回答しています。これを見ると寝床にスマホを持ち込んでいることがわかります。
(福田教授)スマホを持ち込むことが悪いことではありませんが、動画を見たりメールをしたりすることでの脳が活性化してしまいます。また、日本人は睡眠時間が短いので、スマホのアラームや目覚まし時計を利用している人が多く、それらを使用しないのは難しいと感じる人が多いのですが、規則正しい生活をしていたら自然に同じ時間に目が覚めるものです。そうでない方は、むしろ不規則な生活か睡眠時間が少ないかのどちらかだと思います。
(小原)次に「不眠が原因で起こる事象の認知度」についての調査結果をみると、集中力の低下やストレスの増加などと仕事や日常生活で支障をきたすことが一般的に認知されていることがわかります。
(福田教授)上記の項目すべて、不眠や睡眠リズムの乱れが原因で起こる事象だと言えます。ただ、調査結果を見るとガンのリスクが増えることなどはあまり認知されていないことから、不眠が引き起こす問題については啓発していく必要があると思います。
また、不眠が続くとまず脳の前頭前野の機能が障害されていき自分が眠たいかどうかもわからなくなりますので、機能が低下していることを自覚していないという側面も考えられます。
(小原)昨年10月にドイツ本社で行った調査では、睡眠不足の影響として生産性の低下をあげている人が多く日本との違いがみられました。ドイツと日本のGDPは近いですが、一人あたりのGDPはドイツのほうが6000ドル高く、この結果はとても興味深いと感じました。
(福田教授)日本ではすでに生産性の低下が起こっているので、低下していることに気付いていないのでしょう。結果としてこのような違いが生じたと考えられます。
例えば、うつは不眠で簡単になってしまいます。そうなると仕事することもできなくなってしまいます。夜遅くまで起きていると仕事をしているつもりになっていますが、実際はあまりいい仕事ができていないこともあるので、仕事は遅くまで行わずにしっかり寝ることが大事です。まずはそれらを自覚することから始めることが大事だと思います。
(福田教授)睡眠時に大切だと思うことという中で、寝室の照明を意識する方が多いですが、勘違いしている人が多いです。寝室に入ったときにはもう手遅れです。大事なのは寝る前に過ごす場所、リビングなどの照明、ライフスタイルも重要です。
(小原)欧米に行くと照明が暗いなと思っていたのですが、先生のお話を聞いて納得しました。同調査では、寝具のフィット感や睡眠時の温度が大切だと感じている人が約6割でした。ドイツ本社でも同様の調査をしたところ、ドイツの方も寝具の質を意識していることがわかりました。日本人も寝具のフィット感が大切だと感じている人が62.8%ではあるものの、72%は寝具の買い替えを検討していないという点にギャップがあるので、今後日本でも訴求していきたいと考えています。
(福田教授)「睡眠負債」という言葉が独り歩きして、睡眠時間はただ長ければいいと勘違いし、週末の寝だめや長い昼寝につながっている側面もあります。しかし、眠りは脳の中の生物時計によってコントロールされているリズムの側面があるため、規則性を心がけるようにすることで今よりも良い眠りが取れるようになると思います。
(小原)ドイツの研究所で日々良い製品の開発を続けており、ドイツの厳しい品質基準をクリアして世界で認められてきております。日本は世界一の睡眠負債国ということもありますので、品質の良いマットレスを提供することを通じて日本の睡眠、社会問題に貢献できればと思っています。本発表会を通して、いい睡眠を取るためのヒントを知り、多くの方がいい睡眠を取れるきっかけになれば幸いです。
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